人権カレッジ
ひとり一人の人権を認め合う地域づくり町づくり
令和7(2025)年度「上三川町人権カレッジ」を開催しました。
第1回【貧困と子どもの人権】「子ども食堂から見た子どもたちの未来~キッズハウスいろどりの実践~」
◆日時=11月4日(火曜日)午後6時から8時◆講師=一般社団法人栃木県若年者支援機構子どもの貧困対策事業部長・荻野友香里(おぎのゆかり)氏

貧困の背景は複雑で根深く、訪れる子どもたちの抱える問題は個々人で異なりますが、子どもにとっては自分が育った環境が「普通」なのです。自分が思っている「普通は捨てる」考えで接しています。
子ども食堂は子どもだけが利用するのではなく、すべての世代に開放されています。食事を提供するだけでなく、自然体験や農業などの体験格差をなくす試みなども実践しています。子ども食堂はそれぞれに特色をもち、「地域づくり・街づくり・交流の場」となり、入口から出口まで切れ目ない支援を続けています。
荻野さんは、「子どものもつ本来の力を信じて、一人の人間として関わること」「孤立させず将来につなげていくこと」を通して、関わり合うことで子どもたちが変わっていくその先を見て活動しています。
第2回【様々な人権】「部落問題の歴史性と社会性~循環型人権保障システム構築を目指して」
◆日時=11月13日(木曜日)午後6時から8時◆講師=NPO法人人権センターとちぎ理事長/部落解放同盟栃木県連合会執行委員長・和田献一(わだけんいち)氏

被差別部落について一般的にいわれていることの多くは事実ではありません。絵画、文献資料、発掘調査をはじめ、伝統芸能や伝承などから、被差別部落が多くの重要な役割をになってきたことが明らかにされました。差別が起こる根底には「ケガレ意識」があり、排除の感情と部落差別は深く結びついています。同時に日本の制度の問題が、差別を生む土台にもなっています。
一方国際連合が、人権の普遍性として包括する「新しい人権概念」(国際基準)により諸条約が批准され、各国内での法律や制度が大きく変わってきました。それとともに多様性を認める社会を反映して、マイノリティの権利を重視する数々の国際法が成立しています。障害者差別解消法、部落差別解消推進法、LGBT理解増進法をはじめ、諸法律が制定された意義は大きく、少しずつ裁判の判決も変化しつつありますが、国内の人権保障に関する法律や制度はまだまだ整っていません。声を上げ、社会を変えていく、人権問題の解決に主体的に取り組むその意味を教えていただきました。
第3回【性的マイノリティの人権】「はじめて学ぶ多様な性~LGBTQ+を切り口に考える多様性」
◆日時=11月17日(月曜日)午後1時30分から3時◆講師=一般社団法人にじーずスタッフ・進藤夏葉(しんどうなつは)氏

「差別」について考えたことがありますか。悪意を持って排除したことはないと思っていても、マイノリティ(少数派)の困りごとは、特権性をもつマジョリティ(多数派)には気づきにくいものです。マイクロアグレッション(些細な攻撃)といって、自分で無意識のうちに差別的なものの見方や言動をとっていることがあります。
「障がい」は、個人の属性ではなく、困っていない側が作りだしているものです。それらのバリア(物理的・制度的・文化情報・意識上の障壁)を取り除くことで誰もが安心して暮らせる社会になります。更に「平等」「公平」の味方や考え方を図を用いて説明されました。
一方セクシュアリティ(性のあり方)は、見た目では分かりません。性の自認、身体の性、好意をもつ対象、表現などの広がりをもち、だれもがSO(好きになる性)とGI(自認する性)を有し、そのあり方は多様です。LGBTの当事者である進藤さんは、ご自身の体験や具体例を紹介しながら男なの?女なの?決めつけられることなく生きたいと強く願っています。当事者が「いるはずがない」ではなく「いるかもしれない」との意識をもってほしいです。「自分事」にするためには、意識変容や学びが必要です。
第4回【刑を終えて出所した人の人権】「罪を犯した人の社会復帰と地域共生社会に関する課題」
◆日時=11月22日(土曜日)午後1時30分から3時◆講師=福島大学行政政策学類准教授・髙橋有紀(たかはしゆき)氏

罪を犯した人の社会復帰を支える更生保護の歴史は、19世紀後半浜松市出身の金原明善(きんばらめいぜん)が先駆者でした。更生保護は、施設内及び社会で立ち直りを目指すもので、日本の特徴は「官民協働」です。民間の保護司の担い手は、年々減少しています。罪を犯した人の抱える課題は複雑化しており、再犯率も決して低くありません。
再犯の背景には「居場所=家」「出番=仕事」の問題を抱えています。かつて古きよき「(ご近所同士の)助け合い」ではなく、「新しい支え合いの仕組み」を地域から創造していくこと。そして、罪を犯した人が「支え手」にも「受け手」にもなり、地域の課題をともに解決していけるような地域共生社会の実現が求められます。
更に犯罪被害者及び加害者家族など「忘れられた被害者」の存在も見逃せず、みんなに目を向けることで、「地域からの孤立」を防ぐことになります。罪を犯した人も「困っている人」であるとの視点から、地域社会づくりを目指すことが大切、とのお話をいただきました。
第5回【災害と人権】「震災当日の行動と教訓・命を守る行動と災害への備え」
◆日時=11月26日(水曜日)午後1時30分から3時◆講師=いわき語り部の会・大河内喜男(おおこうちよしお)氏

震災当日、自分がどのように判断し、行動したのか、その一連を振り返り、伝えたいことを写真を用いながらのお話でした。「自分の命を守る行動をとる」「平時の時に災害に対する関心を持ち備えておくと、いざというときに行動できる」「ハザードマップなどを活用し、指定避難所まで町を歩き危険箇所のチェックをしておく」「タイミングを見て家族で災害について話し合いをしておく」「避難所生活で協力し合うためには、地域の日ごろのコミュニケーションが大事」「災害に関心を持たない人や備えのない人に犠牲者が多い」など、日常生活ですぐ実践できる内容でした。安全な場所に避難したにも関わらず、海岸に戻った人たちが犠牲になったことから得られた教訓、とりまとめ役として活動した避難所での多くの問題と運営から見えてきた課題など、体験者ならではの本心が感じられました。
掲載日 令和7年12月18日
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